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December 02, 2008

リスクマネージメント

最近、週末にまとめて当直している。
デコにおじいちゃんおばあちゃんの家で過ごしてもらえるので、
色々といいのである。

今、「医者が足りなくて大変だ」という世論に混じって、
「忙しいから診ないとか、対応出来ないとか言うのは、傲慢だ」
という声がちらほら聞こえてくる。
当直していると、
救急車や直接来院する患者さん、病棟業務が次々にやってきて
大きな出来事がなくても
手一杯の事がほとんどである。
緊急処置の必要な場面は
突然やって来る事が多く、
突然、他の業務は対応不能になる。
そんな状況で、
リスクの高い患者さんを受け入れて、
対応し尽くすだけの自信がある医師がどれだけいるだろうか。
受け入れておいて、
「対応出来ませんでした」とは
今のご時世、言えないのである。
幾つも訴訟を抱えることになるだろう。


私も、「山梨県での最終砦」と呼ばれた病院にいたことがあった。
そこは
自分が手一杯になると
2番手3番手が必ず駆けつけてくれる体制になっていた。
どんな患者でも受け入れた。


医者が正義感にかられて
出来もしないことにトライすることは
罪なのである。

その地域に自分の他には誰も医者がいない状況で
そのことを
患者さん及び患者さんの家族も
明らかに認める状況なら
受け入れてから、治療までに時間がかかり、
ベッドの上で徐々に悪化して
手遅れになる可能性があっても
とりあえず受け入れようと思うだろう。

その時初めて
「訴えられるかも」という恐怖から逃れる事が出来るから

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Comments

確かに今はすぐに訴訟になりますからね。受け入れなければ受け入れないで問題になるし、受け入れて対応できなければ訴訟になる。
近年医療崩壊が叫ばれて久しいですがやはりそれは医師の側だけではなく患者の側にも問題はあるのではないかとも思います。まずは何でもないのにちょっとのことですぐ病院にかかるのもその一つですね。これなどは、お金を払っているという権利意識だけが強く、真面目に働いて保険料を納めている他人のお金も使われているという意識が欠けています。これが全て自由診療で自己負担ならそんなことができるわけありません。やはり適正な窓口負担は必要でしょう。これはすぐに救急車を呼ぶことなども同じでしょう。また、近年医療訴訟が非常に増えていますが、これもマスコミが大々的に追及していることなどで患者の側が賢くなっていることに加えて、患者の家族などの意識が代わっていることもあると思います。明らかなミスがあった場合は別ですが、どれだけ医師が最善を尽くしても助からないケースだってあるはずです。そのことを分かっていないのか、或いは権利意識が強いのかは分かりませんが。まあいずれにしろマスコミがそのような風潮を煽っていることも確かだと思います。マスコミは常に叩く対象を探してますからね。
医療も社会的なインフラで、限りがあるものですから、権利意識だけではなく社会的なインフラを守るために責任と負担を分かち合うことが患者にも医師にも求められますね。このようなインフラは一度壊れてしまったら修復するのは困難で、結局困るのは自分たちなんですから。
やはり医師も人間なのですから、訴訟になるのではないかといった不安を抱えていては患者を治療するのに躊躇するのはやむを得ません。うちの母もやはり家族もいるのだから訴訟になったときのことなどを考えたら怖くなるそうです。祖父も企業への株主代表訴訟などについて、自分にやましい点は一点もなくてもやはり訴訟を起こされるリスクについて考えると経営者もがんじがらめになってしまうのではないかといっていましたね。
やはり小さな政府を目指すなかで何でも政府に持ち込まずに訴訟によって解決できることは解決するのは大きな流れですが、日本も訴訟社会になっているのは由々しきことですね。やはり何の仕事でも同じですが、仕事を任せる側と受ける側の双方に信頼があって初めていい仕事ができるのではないかと思います。これは医師と患者も同じです。やはり社会全体の信頼感を取り戻すことは医療の立て直しにも不可欠でしょうね。
長文になって申し訳ありませんが。

Posted by: T | December 27, 2008 at 01:01 AM

>Tさんへ
ありがとうございます。みんなで守るべき社会的インフラであるという意識をもつのって、とても大切だと思います。医者側にとっても、患者側にとっても。そこにあるから、自分が利用したいときにいつでも利用する、内容に納得がいかなければ、利用しているものが自分勝手に権利を主張できる・・・それがやがて、自分達の生活に跳ね返ってくるという意識が欠けているように思います。医者側にも、税金を使って診療しているという意識が必要ですけれども。

Posted by: HOORN | January 04, 2009 at 09:40 AM

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