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August 21, 2008

二つの顔

「医者としての今後、母親としての今後」
に、みなさまから本当に温かいコメントを頂いたので
お返事として、今の心境を書いてみたいと思います。

今、私の中には完全に二つの顔が同居しています。

家に帰って、朝、デコとわかれるまでの母親としての顔。
わが子がかわいくてかわいくて仕方が無くて
一秒も離れていたくなくて
この子の成長をそばで見つめていくことが、最高の幸せ!と思う自分。

保育園や自宅のドアを閉めて、病院へ向かって数歩歩いた後の、医者としての顔。
結婚前と変わらず、医者としての本分を考え
仲間に迷惑をかけることないように配慮し
少しでも前へ前へと、技術や知識を磨いていこうとする自分。

場所が切り替わったとき、
人格まで切り替わるのではないかと思うくらい
片方の自分は、影を潜めてしまいます。

矛盾無く切り替えていられるから、
精神的にやっていけてるのだと思います。

切り替えていられるのは、両方の自分に不安が無い状態だからだと思います。
相方が、母親としての顔を全力でサポートしてくれており
私は、妻業に神経を使わなくてすんでいるからだと思います。

でも、片方の顔に問題があって
切り替えがうまくいかなかったとき
両方の顔が破綻しそうな危険も感じています。

これから、医者としての顔が問題になったときより
母としての顔が問題になったとき
・・・デコとの関係に余裕がなくなったとき・・・・
医者としての顔に切り替えることが出来るのか。
すごく、苦しむことになりはしないか。そのあたりが心配です。



女性が医者に向かないのは
結婚相手である男性が(医者である場合特に)
子供が出来たからといって、仕事をセーブできないから、という
一言に尽きると思います。

両方が、75%にすることができれば、
きっと、女医も続けていけます。

女医の覚悟も必要です。
勤務医として帰ってくることが当たり前な世の中にする。
細くでも続けていれば、太くすることは出来ます。

給料格差を無くすこと。
第一線に戻ろうとすればするほど、金銭的に厳しくなるという状況は
何とかしてもらいたいと思います。

なんだか、思いつくままにいろいろ書いてしまいましたが
今は結構幸せです。

10月から、転勤することになりました。
通勤時間がプラス30分となり、帰宅時間は2時間ぐらいは遅くなってしまいそう。
でも、ここでがっつり手術経験をつんでいかないと、
今後の動きが取れないことに気づき、決断しました。

私というより、相方や相方側のお父さんお母さんに負担をかけることになってしまいました。
3ヵ月後、今と言っていることが180度違うかもしれませんね・・・・

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Comments

< 75%にすること
これって、なかなか専門職の場合難しいですよね。
研究とかの業界でも、やっぱり常にやってないとあっという間に取り残されてしまう気がするし。
研究者同士なんかだと別居婚も当たり前的なところもあるし。
ただ、細くでも続けていければ良いって言うのは凄く賛成です。

あと、僕の思い込みかもしれないんですけど、医者って時給換算だと安いけど、トータルだと一般の人より年収とかって十分多いと思ってたんですけど、実際はそんなことないんですか??

Posted by: deodeo | August 21, 2008 10:18 PM

難しい選択ですよね。
母の顔と医師の顔。その二つがかけ離れてもいけないし、近寄りすぎてもいけないと思います。
今は幸せであるならその幸せを大事にしていけばいいんじゃないかな、とも思います。
この先、二つの選択で迷うようなことがあっても、基盤づくりをしっかりしておけば悩まずにすむかも知れませんね。

Posted by: まめめ | August 22, 2008 05:10 PM

>deodeoさんへ
日本に限らず、いろいろな業界のトップレベルの仕事をする人たちは、常に100%取り組んでいるから、家庭を顧みられないのかもしれませんね・・・ただ、医療業界は「忙しい自分好き」の人が多くて、病院に長くいることが美徳と思っていることが多いような気がします。同じ仕事量でも、もっと効率よく終わらせて家庭に帰ることは出来るのですが・・・。
育児時期は、自給換算が高いことが大事な時期で、大学病院に勤務するよりも、バイトという形で中小規模の病院で外来などをしたほうが効率よく稼げてしまうのです。私のように、私立の大学病院勤務だと、週2回外来を行っていても給料をもらえないことがほとんどですし、職員として朝から晩まで働いたとしても、給料はバイトで週2回勤務したほうがずっといいです。一般に、私立大学の勤務医は、週数回のバイトで給料を増やしているのが現状です。
・・・いくらキャリアを積みたくても、大学病院には復帰したいとは考え難い現状なんですよね・・・

Posted by: HOORN | August 25, 2008 12:48 AM

>まめめさんへ
ありがとうございます!先のことは予測がつかず、その日を幸せに過ごせたことを感謝している毎日です。まめめさんのおっしゃるように、今後迷うときには、自分の価値判断で迷うことになると思うので、価値判断の基準をしっかり持っていなければと思います。母としても、医者としても、基盤を固めます・・・

Posted by: HOORN | August 25, 2008 12:58 AM

>なんだか、思いつくままにいろいろ書いてしまいましたが今は結構幸せです。
こう感じられる今を積み重ねていくことができたなら、今後どうであれきっと大丈夫でしょう。
医者としても、母としてもこれから幾度となく選択・決断を迫られるときが来ると思います。
まずは健康に気をつけてがんばってくださいね。
ついつい自分の身体は二の次にしがちですが、一番大切なのが健康だと思いますので。

Posted by: yukidarumako | August 29, 2008 12:56 AM

>女性が医者に向かないのは
結婚相手である男性が(医者である場合特に)
子供が出来たからといって、仕事をセーブできないから、という
一言に尽きると思います。

私も外科女医ですが(オットも外科医)、とっても同感です。今は1歳半の、やはり、かわいくて仕様がない息子が出来たので、研究生活中ですが、なかなか、9年間あれだけ打ち込んでいた、第一線の臨床に戻る踏ん切りがつきません。いっそ、このまま辞めようかとほとほと悩んでいます。ブログを一通り読ませて頂きましたが、うん、うん、とうなずく事多しでした。勤務先が変わられるとのこと、臨床ー手術生活に戻られるのかな、と推察しました。私はまだ決心がつきませんが、ぜひ、頑張ってください。

Posted by: nora | September 07, 2008 10:56 PM

>yukidarumakoさん
健康第一!本当に。だめなときには「まま、今日はパワーがないよー」と、泣き言いってデコにも相方にも甘えるようにしています(* ̄ー ̄*)

>noraさん
医療崩壊が叫ばれる昨今、女医に経営陣が「働いてください」と本気で頭を下げる世の中になってくるような気がします。そうならないと、女医ひとりが負担を背負うことになり、大変ですよね・・・

Posted by: HOORN | September 13, 2008 12:29 PM

うちは母が外科女医なんですが、私を育てながら仕事をずっと続けてキャリアを積んできました。うちの場合は父と母は離婚しており、私は母に女手一つで育てられました。母は父と離婚してからはずっと地元広島に戻って医者をしています。離婚してから専門医や博士号も取得していますし、海外にも留学していますからキャリアアップをしたのは確かですが、それでも家庭が円満なほうがもちろん幸せでしょうね。父は大蔵官僚だったのですが、当時、夫婦ともに仕事はとても忙しかったようですね。私は父の実家に預けられていたようです。父の両親も当時はともに働いていてとても忙しかったようで、私は家政婦に面倒を見て貰っていたようです。父の両親は母に協力的だったのでしょう。何が離婚の原因かは私にも知る由もありませんが、女医が仕事と家庭を両立させるのは難しいのは確かです。それでも今は女医は非常に多いですし、結婚して子供を産んでも仕事を続けて世の中に貢献しないとせっかくの知識や技能がもったいないです。私も医学部に在学していますが、女子学生も非常に多いですし、女性の先生方も何も珍しくはありません。今の時代、医師不足が言われているのだから、女性の医師も存分に能力を発揮して活躍できるようにするのは不可欠です。私は医師不足を解消するには今現在、医師免許を持っている人間を最大限活用することのほうが単純に医者を増やすよりも大切だと思います。単純に医者を増やしても医者のレベルも落ちるし、国の医療費もかさむことでしょう。
私は何の仕事であっても仕事に関しては性別に関係なく能力のある人間がどんどん活躍することはとても大事なことだと思いますね。仕事は女性にとっても男性にとってのそれと同様にとても大切なものですよね。また、男性と女性は違うということにも理解が必要ですね。女性にしか子供を産むことはできませんからね。
少子高齢化も進み、労働力人口が減少する中で男性も女性も仕事も家庭も両立させることはますます重要になっています。女性も仕事を取るか家庭を取るかの二者択一ではなく、仕事も家庭も取るというくらい貪欲になったらいいと思います。

Posted by: 匿名 | September 14, 2008 01:45 AM

>匿名さん
コメントありがとうございました。匿名さんが医学生とうかがい、本当にうれしく思いました。私の娘も、こんな母の姿を見ても医者になりたいと言ってくれたら、泣いてしまうかもしれません。寂しい思いをさせてしまっている、子供にしわよせがいっていることが一番辛いですが、匿名さんが投げかけてくださった言葉は私だけでなく、すべての女医に勇気を与えると思います。そのお気持ちをお持ちになって、将来一緒に働く女医さん達の力になってください。本当に、本当にありがとうございました。

Posted by: HOORN | September 16, 2008 02:00 PM

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