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November 27, 2006

頭を離れない患者さん

2年ぐらい、「腰部脊柱管狭窄症」で私の外来に通っている患者さんがいる。

調子のいいときも悪いときもあった。

歩けなくなっては困ると、毎日毎日、休み休み歩いている。

半年ほど前に、たまたまほかの曜日にかかったら

脊椎専門の大先輩の当番の日で

「私の病院で手術をしてあげる」と

とんとん拍子に話が進み、その患者さんは手術を受けた。

私は看護婦さん伝いに、そのことを知った。

5ヶ月ほどして、私の外来に久しぶりに現れた。

人が変わったような硬い表情にドキッとした。

手術後も痛みは変わらず、仕事ができなくなったために小さな町工場をたたみ、機械を売ってしまったこと、息子が失業して借金があるらしいこと、眠れないことを、切々と訴えた。

手術をした先輩医師には相談したか、と聞くと

「リハビリをがんばれって言われるだけなので、退院してから1回しか行っていない」という。

決して評判の悪い医師ではないし、わざわざ自分の病院に連れて行ってまで手術をしたということは

その患者さんの責任はもつ、ということだと考えて

先輩医師の外来への受診を勧めた。カルテに今日お話してくださったことを書いておくから、きっとなにか案を出してくださいますよ、と。

3週間後、前と変わらない状態で来院。

カルテには、先輩医師の字で「Lumbago(腰痛)(+)、うつ状態。」とだけ書かれ、睡眠導入剤と抗うつ薬が処方されていた。

聞けば、「ボーっとなるから飲んでいない」という。

「心のケアを一緒にすることが大事。長く痛みを患っている方は、気持ちもふさいできてしまうから、脊椎の専門の先生はそういう患者さんの心のケアも出来る人が多い。ボーっとしすぎるなら調節が必要だから、もう一度先輩医師の外来で相談するのが一番いいと思う」とお話した。

なんとなく、引っかかるものを感じながら、患者さんの背中を見送った。

看護婦さんが「でもね、あの先生、あんまり患者さんを親身に診ないのよ。仕事がしたくないって感じ。あの患者さんもすっかり様子が変わっちゃったわね・・・」とつぶやいた。

一度メスを入れた患者は、とことんまで責任を負うべきだと思うし

先輩医師のように、私は精神科の薬を使い慣れていないので調整に自信はない。

心療内科や精神科に紹介すると、こういう患者さんの場合、「痛み」が主症状なので「それについては整形外科で・・・」と、治療が中途半端になることも多い。

「では、私のところに顔を見せに来てください」と言いたいのは山々だが・・・

今後、先輩医師といい関係を築いて治療がうまく行ってくれることを祈るばかりである。

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November 22, 2006

インカレ

インカレ

今年も全日本学生バスケの会場ドクターです。
応援合戦がはじまると
お腹の子も大興奮でボコボコ蹴られてます。
私の足元に転がってきたボールを追いかけて、
男の子が走ってきました。
立ち去る瞬間に、
石鹸のようななんとも爽やかな香りが漂って
時代は変わったなぁと思いました。

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とりあえず一安心

本日、口頭試問が無事終わりました・・・

主査の先生が、気持ちよく持ち上げて気づかないうちに落とす方で

「色々なことに果敢に挑戦していて、とても充実した大学院生活だったことが伺えますね。学会発表も積極的にして、そのたびに有意義なディスカッションが出来たのではないかとおもいます。でも、この結果を臨床に結びつけようとしているので、フラストレーションを感じていらっしゃるでしょう?論文としてアクセプトされるのに、一年以上かからないといいですね・・・。」

って!よく聞けば、「もうちょっとどうにかしないと、アクセプトされないよ」ってことでしょうか・・・

提出したのが、臨床の報告も載るような雑誌なので

きっと、私の研究題材自体に興味を持ってくれると思うのですが・・・

全体的には、和やかな質疑応答で

共同研究者の先生の鮮やかなスルーパスに何度も助けられ

うまく補足説明をすることが出来ました。

お腹の子は、ママのこんな大事な場面にも立ち会って

どんなことを感じているのでしょう・・・

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November 16, 2006

博士号

来週の火曜日、学位論文の口頭試問がある。

体力的にはつらくないものの、頭はフル回転だ。

4年間の集大成を、いかに30分で伝えるか・・・

20分を超えるプレゼンテーションは初めてなので、どうなることか想像がつかない。

今日、数人の先生の前で予行演習をしたら、

自分の集中力が持たなかった・・・・・

「詰め込みすぎて、印象が薄い」というのが先生たちの感想だった。

・・・これから、無駄なものを省く作業をしなくてはいけない。

なんでも、そう。

仕上がりの一段階手前はいつも、「省く」作業。

勇気を持って省く。

でも、例外は、人に「愛」を伝えるときではないだろうか。

対象は、恋人でも、伴侶でも、子供でも、友達でも、患者さんでも。

言葉を尽くして、あいまいさを無くして、100%を100%の言葉で。

「言わずとも感じてほしい」というやり方は、なんとなく、独りよがりな気がする。

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November 10, 2006

いじめ

最近、いじめの話題が気になる。

私も中・高と一年生の時には必ずと言っていいほどいじめられた。

スタートのときに構えすぎて、張り切りすぎて、しまったのだろう。

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November 06, 2006

子供用手術着

Op_gi_1 尊敬する上司が

かの有名なワシントンのNIHに行って来たお土産として

子供用の手術着のレプリカを買ってきてくださいました!

1歳児用なのですが、

なにしろ、かわいい!

きられる年齢になるまで待てません!!

手術室ごっことかして、その気にさせて

医者になりたくなるように、摺りこみ教育ですな・・・

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