« いちごが届きました | Main | 雪を侮る無かれ »

February 26, 2006

女性がひとりで生きるということ

ひさびさに、女医的につぶやく。

外来に、膝の痛い患者さんが来た。

50台の女性。

お酒の匂いをぷんぷんさせて・・・・

一通り診察を終えて、膝の中の靭帯とか半月版とかが痛んでいる状態ではなく、ごく初期のいわゆる「年齢的な変化」であることことを説明した。

「私、痛いのが不安で、自分でも情けないくらい痛いことが怖いんです。今までこういう痛みを感じることは経験が無くて、仕事もがんばってきたし不自由なかったのに、もう歩けなくなるんじゃないかと思って・・・」

私:「あの・・・お酒、よく飲むんですか?飲むと痛みは増しますよ」

「痛くなってから、飲まずにいられないんです。一人でいると不安でどうしようもなくて・・・。友達は心配してくれて温泉にも連れて行ってくれたんですけれど、せっかく行ったのに『どうしたの、暗いね』とかって言われちゃって。暗くなっちゃうんですよ・・・・」

聞くと、一人暮らしで仕事場でも「怖いマネージャー」といわれ、バリバリやってきた方、とのこと。

私:「一人で何でもがんばっていらしたんですね。それが、小さなひざの痛みがきっかけで、色々不安になったんじゃないですか?」

しばらく、下を向いていたその女性の瞳から、涙がこぼれ落ちた。

私:「年齢を重ねれば、どこかしらに痛いところは出てきますよ。腰とか、肩とか。

 ずっと同じ部品を使い続けるのですもの、顔にしわが出来るのと同じで、うまく付き合っていくことが、大切だと思うんですよ。

 痛いところが出てきて、自分を思って、助けてくれる友達がいることが分ったのですね。」

患者さんは、泣きながら、

「そうなんです。一人で生きていけると思っていたから、痛くて不自由だなんて経験を初めてして不安になって。でも、周りにこんなに、自分を心配してくれている友達がいることが、初めて分りました。」

もう一度、今の痛みは膝の筋力体操で解放に向かうであろうということと、歩けなくなることは無いということを説明し、ご帰宅となった。

人間は、最終的には一人である。

しかし、女として、一人で生きていくことを覚悟するということは

「最終的には一人である」ということと同時に、

「人間は一人では生きられない」ということを、受け入れることだと思う。

しなやかに、自然体で幸せに生きていくために。

一人で生きていけると過信するのではなく、周りに感謝し続けたい。

肩肘を張り続けては、生きられない。

|

« いちごが届きました | Main | 雪を侮る無かれ »

Comments

その言葉をあの人に刷り込んでやりたい。(^▽^笑)

それはさておき、「人間は最後は一人。」というのは、男女問わず一つの真理ですね。
ちょっと文学的表現な気はしなくもないですが。
解釈によっていろんな意義が生まれてくるしw

人として高みを目指す時、その人その人のIdentityがある以上、人と全く同じ階段は存在せず、その階段を上るのは、最終的には自分の足で上り続ければならない。
ただ、やっぱりその階段を上って行くに当たって、さすがにおんぷして上ることはないにしろ、誰かが手を携えてくれることは多々あって、そういうところはHoornさんが仰るように肩肘張らずに素直に認めて、そして受け入れて行くべきなんだと思います。

結構こういう哲学的なことは解釈が人によって千差万別だから難しいですね。

Posted by: Yokoken | February 26, 2006 09:56 AM

 なるほどねー。
 なんて感心しつつ読んでおりました。Hoornさんは立派です。対応がしっかりなさっとる。見習わなければ…。

 でも、これきっと女性に限ったことではないと思います。いや、男の一人はもっと悲惨だと思うんです。熟年離婚した場合、女性は3年寿命が縮むんだそうです。一方男性は…10年だそうです。
 確かにそんな気がします。60歳を超えて離婚なんかされたら…安定した食事の確保ができなくなるし…きっとすぐに死にますね。男ってよわーい生き物なんです!!(<<これが一番言いたかった(^o^)v)。うちの場合、女房は大事にしないとな…。我が家のhouse keeping geneですね。
 すいません、ちょっと本題とずれました。

Posted by: ないかい | February 26, 2006 08:13 PM

>Yokokenさん
あのひとって・・・(笑)。Identityが形作る階段!なるほど。生き抜くことだけでなく、目標に向かうことだって、一人で勝ち得たようでも手を携えてくれる人がいて上っていけるのですね。

>ないかいさん
いらっしゃいませ!そうか・・・男の人も同じですね。離婚率も増え、シングルを選ぶ女性が増えるということはシングルの男性も増えるわけですね。
 ということは、人間、何歳になっても恋すると幸せかしら・・・

Posted by: HOORN | February 28, 2006 12:39 AM

I constantly emailed this weblog post page to all my friends, since if like to read it afterward my contacts will too.

Posted by: room air purifiers do they work | November 30, 2014 05:27 PM

It's very straightforward to find out any matter on web as compared to books, as I found this piece of writing at this web page.

Posted by: best dating sites | December 19, 2014 07:46 AM

What's Going down i am new to this, I stumbled upon this I have discovered It positively helpful and it has helped me out loads. I'm hoping to give a contribution & assist other users like its aided me. Good job.

Posted by: best dating sites | January 16, 2015 09:25 AM

This web site truly has all the information I wanted about this subject and didn't know who to ask.

Posted by: minecraft free download full version | February 08, 2015 03:30 PM

An intriguing discussion iis worth comment. I believe that you need to write more about this topic, it mmay not be a taboo matter bbut typically folks don't speak about these subjects. To the next! Kind regards!!

Posted by: stomatoloske ordinacije vozdovac | March 13, 2015 01:26 PM

Simply desire too say your article is as astonishing. The clearness in your post is simply spectacular and i could assum you are an expert on this subject. Fine with your permission allw me to gfab your RSS feed to keep updated with forthcoming post. Thanks a million and please continue the enjoyable work.

Posted by: rent a car beograd fiat 500 | March 15, 2015 09:34 AM

Yes! Finally someone writes about advojatska kancelarija.

Posted by: prodaja Zlata Cena | March 16, 2015 03:45 PM

I all the time used to read post in news papers but now as I am a user of internet therefore from now I am using net for posts, thanks to web.

Posted by: otkup srebra | April 08, 2015 04:35 PM

I blog often and I genuinely appreciate your content. Thhe article hass trulky peaked my interest. I'm going to bookmark your website and kwep checking for new details about once per week. I opted iin for your RSS feedd too.

Posted by: proizvodnja Papira | April 11, 2015 11:31 AM

The comments to this entry are closed.

« いちごが届きました | Main | 雪を侮る無かれ »