窮鼠だったことを思い出した。
大学で、一緒に働いている女の先輩に、何度も理不尽にしかられてから
すれ違っただけで、怖くてどきどきするので
2人になるのをずっと避けてきた。
仕方なく会ってしまった時は、元気よく挨拶するようにしていた。
返事は一度だって、返ってこなかったけれど。
今日も、帰ろうとしていたところにすれ違ったので、
「失礼します!」と頭を下げて、通り過ぎようとした。すると、後ろから・・・
「ねぇ、嫌いかもしれないけれど、手術の予定ぐらい知らせてよね」
・・・突然だった。
何のことか、さっぱり分からず、相当混乱した。
「えっ・・・手術の予定ですか?(先週、代診を勤めた)外来でのことですか???」
最近の仕事の接点といえば、そのくらいしか浮かばなかった。
「わかんないんじゃいいよ、もういい。」
「・・でも・・教えてください」
「いいよ、もう」
結局、今回も、言いっぱなしだ・・・「なんのことだろう?なんのことだろう???・・・」
ぐるぐる、ぐるぐる、答えの出ないまま、混乱していた。
彼女は去っていった。
長いこと、ふたをしていて、ようやく癒えてきた傷を、引き裂かれた。
問いの意味さえ分からなかった。「嫌いかもしれないけれど」って、
「嫌い」という、対等の立場ではないではないか。
「苦手」とか「怖い」とかという言葉は当てはまるけれど、
「私のこと、嫌いだから、そういうことするんでしょ」と、感情論に持ち込まれたのもショックだった。
傷口から、じわりじわりと体液がにじんできている。とめる気力さえない。
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